2011年05月09日

福島県知事への要望書(5/9)

みなさま、初めまして

福島大学共生システム理工学類の石田葉月と申します。



さて、福島県知事 佐藤雄平氏 宛に、次のような要望書をメールにて送付しましたので、ここに広く県民や国民のみなさまにご報告致します。送付したのは4月30日です。

なお、この要望書はFGFとは関係なく、石田個人が作成し、送付したものです。したがって、本要望書に関する全責任は私個人が負うべきものです。


~~~~~~~~ココカラ~~~~~~~

佐藤雄平 福島県知事殿


突然のメール、失礼致します。
福島大学共生システム理工学類の石田葉月と申します。


早速ですが、県が招聘する放射線健康リスク管理アドバイザーの選定について、以下のことを要望します。これにつきまして、県知事のお考えをご回答頂きますよう、お願い申し上げます。

なお、頂きましたご回答は、福島大学原発災害支援フォーラムのHP
http://fukugenken.e-contents.biz/index
にて公開させて頂きます。また、ご回答を頂けなかった場合でも、その旨を公開させて頂きますのでご了承ください。

なお、この件につきましては緊急性が高いため、ご回答は、5月13日(金)までに頂けますようお願い申し上げます。



【要望の内容】

福島県は、放射線健康リスク管理アドバイザーの選定において、低放射線被曝のリスクに関する次の二つの立場の専門家をそれぞれ招聘すべきである。

・被曝量が下がればリスクは減るものの、どんな低線量でもリスクはゼロではないとする立場(閾値なし線形仮説を支持する立場)

・内部被曝のリスクを重視し、低線量被曝のリスクは必ずしも小さくないとする立場



以下に、要望の根拠を述べます。

まず、低線量被曝リスクについての既存見解について述べます。

ここで問題とするのは、積算で100mSv以下のいわゆる「低線量被曝」です。たとえば福島市では、事故から一ヶ月間の積算放射線量はおよそ3.5mSvであり、4月27日現在でも毎時1.5μSvを超えているので、人によっては今後一年間で10mSv程度の被曝量に達するケースもあるかもしれません。

現在のところ、低線量被曝の健康被害(たとえば晩発性のガン)についての見解は、世界的にみても一致しているわけではありません。大きくわけると、以下のような3つの立場が存在しています。なお、【 】内はそれを支持する主な機関です。

@ある量以下の被曝はまったく無害とする立場【フランス医学・科学アカデミー】


A被曝量が下がればリスクは減るものの、どんな低線量でもリスクはゼロではないとする立場【アメリカ科学アカデミー, 原子放射線の影響に関する国連科学委員会, 国際放射線防護委員会】


B低線量だからといって、必ずしもリスクは小さくならないとする立場【欧州放射線リスク委員会】



これ以外にも、低線量被曝はむしろ人体に有益であることを強調する立場がありますが、これは@に含めて話を進めます。

@からBのうち、どの立場が正しいかを判断することは、専門外の私にはできません。ですが、控えめにいっても、Aの立場が少数派ということはありません。このように未だ不十分な科学的知見のなか、少なくともいえるのは、AやBの立場があることを無視して@の立場のみを強調する態度は科学的ではない、ということです。

さて、福島県では、放射線被曝に対する県民の不安を取り除くため、県外の複数の専門家を、放射線健康リスク管理アドバイザー(山下氏、高村氏、神谷氏)として招聘しました。これらのアドバイザーは、低線量被曝の健康被害については無視できるという考えを持っており、実質的には先述の@の立場に相当すると思われます。

しかし、低線量被曝リスクについては、先述したようなAやBの立場が少なからず存在しているので、こういった「情報操作」は公正ではありません。リスクがゼロでない可能性があるにもかかわらずそのことを県民に知らせないのは、県民の生命を第一に守るべき行政の正しい姿ではありません。

県民に不安を与えないことを優先するあまり偏った情報を流しても、それは「見せかけの安心」を作るだけに過ぎません。低線量被曝リスクについての解明が不十分である以上、「不十分である」という事実を県民に伝えるとともに、現段階における科学的知見を全県民で共有することこそが、長期的視点に立って県民の生命を守るうえで、いま取り得る最善の策であると思われます。


以上です


~~~~~~~ココマデ~~~~~~~~~

この要望は、FGFのホームページ内の「提言」の内容です。




低線量被曝でも晩発性の健康被害をもたらす可能性があるとすれば、県民は、まずは個人レベルでできる様々な防護策を積極的に講じるべきでしょう。

県民の生命を守るべき県としては、県民に対して自己防護を励行するように強く呼びかけなくてはなりません。

しかし県は、偏った考えの専門家だけをリスクアドバイザーに選び、低線量被曝は安全とのキャンペーンを繰り広げています。

このキャンペーンが奏功すれば、マスクをして線量計を持って歩くだけで、「不安を煽っている」と周囲から批難の視線を浴びることにもなりかねません。


知事および福島県は、事の重大さを自覚しているのでしょうか?

専門家にはいろいろな考え方を持つ者がいます。いろいろな立場の専門家をリスクアドバイザーに呼べば、県民に混乱を与えるかもしれません。


でも、それは仕方がないのです。低線量被曝の健康影響についてはいろいろな立場があるというのが「事実」なのですから。県民はその事実を受け止め、それぞれが悩み抜いてそれぞれが「判断」する他ありません。


県民をいたずらに不安にさせたくない、という考えは理解できなくもありません。
県民に難題を押しつけて悩ませたくない、という考えも理解できなくはありません。


しかし、だからといって「作られた見せかけの安心」を与えることが、本当によいことなのでしょうか? それは、本質的には、その場限りの快楽のために麻薬を与えるのと同じことだと思います。






・・・ただ、今回はいろいろ考えるところがありまして、積極的に除染を行うことや、県民へのマスクや線量計の配布の要望は本文に含めませんでした。

もちろん、私自身は、政府や自治体は少なくとも「公衆の年間線量限度1mSV」に収まるような措置を講じるべきであると考えており、そのための費用を我々「被曝者」が負担しなければならない理由はまったくないとも考えております。

これについては、また機会をみて要望してみるつもりです。



それでは、失礼します


(by 石田葉月)
posted by fukugenken at 02:17| 福島 ☀| Comment(38) | お知らせ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年05月08日

放射線から身を守る

朝日新聞(2011.5.8) 「放射線から我が子を守る」の内容をまとめます。


     ★     ★


・被曝量は、「外部被曝」+「内部被曝」である。

・自治体などが発表する環境放射線は「外部被曝」。

・呼吸や飲食物をつうじて放射線物質をとりこむのが「内部被曝」。

・内部被曝量の計算は簡単ではない。

・健康影響には、「(短期の)確定的影響」と「(長期の)確率的影響」がある。

・100ミリシーベルト未満の低い線量がもたらす確率的影響については、専門家のあいだでも意見が分かれている。

・「胎児や小児は、大人の3倍放射線の影響を受けやすいといわれている」(放射線医学総合研究所の神田玲子氏)

・被曝を減らすには4つのルートに気をつけるべき(原子力安全委員会専門委員の武田邦彦氏)。


@その地域の環境放射線
A呼吸 
B飲料水 
C食べ物


・具体的には、

@マスクをする 
A砂遊びは避ける 
B外出したら服の表面をはらい、玄関にかける
C窓は開けない
D床の水拭き


・ほかにも、放射線物質が水に溶ける性質を利用し、

@魚は頭や内臓を取り除いて食塩水に長時間浸す
A野菜は熱処理をして煮汁を捨てる 

(放射線医学総合研究所内部ひばく評価室の元室長 白石久二雄氏)


     ★     ★


この記事は子育てする親を意識したものですが、大人でも同じように防護するに越したことはないと思います。

なお、被曝と健康に関する様々な見解についてはこちらにまとめてあります。



(by みかん)
posted by fukugenken at 13:34| 福島 ☀| Comment(0) | ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年05月07日

気になるニュース(5月7日)【5.9.追記】

新聞報道等から、気になるニュースを3つほど、ピックアップします。

1)東電原発事故は、チェルノブイリを超えたのか?(自由報道協会<ザ・ニュース>)

5月6日の共同会見の場において、文部科学省が公表した「文部科学省及び米国エネルギー省航空機による航空機モニタリングの測定結果について」(←pdfファイルです)について、NHKの石川一洋氏がした質問・回答などが掲載されています。

航空機モニタリングの結果は、「今回の資料が正しければ、軽くチェルノブイリを超えていることになる」そうです。

モニタリングの結果、地表面から1mの空間線量率の分布状況を示した「線量測定マップ」及び土壌表層中の放射性物質の蓄積状況を示した「土壌濃度マップ」は、文部科学省からの公表物の別紙1〜4として添付されています。

他の地図との比較によって、今、住んでいる場所・仕事をしている場所・生活している場所などがどこなのか、各自確認が必要となるでしょう(風の影響なのか、なぜだか福島市内でも数値の高い所に住んでいる身としては、本当に他人事ではないです)。


2)福島3号機で原子炉温度の上昇続く(テレ朝ニュース)

福島第一原発1号機では、原子炉建屋の中の汚染された空気の浄化作業が続けられ、7日には建屋内で人が作業できるレベルまで放射性物質の濃度が下がったとの報道を聞き、やっと本格的な冷却のための準備に取り掛かれるようになったかと、少し安心しました。

その矢先に、3号機の原子炉温度の上昇との報道。確かに、原子力保安院の公表しているデータによれば、5月2日より温度上昇が続いています

3号機については、他の原子炉と異なり、MOX燃料が使用されていることなど、懸念材料が多いので、続報に注視したいです。

【参考:3号機原子炉温度(A:原子炉給水ノズル温度、B:圧力容器下部温度)】
plant3_tem.bmp
参考までに。(2011.5.8.追記)



3)校庭表土を下層の土と交換、あす放射線遮断実験(読売新聞)

文部科学省は、放射性物質に汚染された校庭の表土を、10メートル四方に区切り、最大20センチまで、掘り返して、放射性物質を含んだ表層の土と、下層の土とを入れ替える「実験」を、福島大学付属中学校・幼稚園(福島市)で、8日に実施すると公表しました。

先日、郡山市や伊達市が、独自の判断で校庭の土を掘り返し野積みされていましたが、文部科学省は、土の上下を入れ替えるそうです。

なお、汚染土の上に盛った土によって放射線を遮断する効果が確かめられれば、福島県内の学校の土壌改良に取り入れる方針とのこと。動くのが遅すぎた感があるものの、行動自体は賛成したいです。

ただ、1つ思うのは、報道の姿勢(もしくは文部科学省がこのように公表したのか?)として、「実験」という文言は、相応しくないのではないでしょうか。深読みなのだとは思いますが、福島県全体(ないし福島大学とその周辺組織?)を「実験体」として捉えているかのような印象をもってしまいました。


【ここから追記】土入れ替え 放射線量10分の1に(NHKニュース)
土の入れ替えにより、「地面近くの放射線量は、土を入れ替える前は1時間当たり2.1マイクロシーベルトだったのに対し、入れ替えたあとは0.2マイクロシーベルトと、およそ10分の1に下がった」そうです。福島県下の小中学校などの校庭の土も、入れ替えることになりそうですね。(2011.5.9.追記)



(by めろん)
posted by fukugenken at 23:50| 福島 ☁| Comment(1) | ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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